地域がん診療連携拠点病院

院内がん登録

 院内がん登録とは、当院でがんの診断や治療を受けられた患者さんについて、がんの診断・治療・予後に関する情報を登録・収集する仕組みのことをいいます。登録の目的は、当院におけるがん診療の向上とがん診療患者さん・ご家族への支援に役立てることです。登録の対象となる疾患は、原発性の悪性新生物、その他の政令で定める疾患です。

 当院では「がん対策基本法」「がん登録推進法」に基づいて登録を行っています。

 

がん登録情報の主な利用目的

•がんに関する医療活動の把握・統計資料の作成

•予後調査

•全国がん登録(秋田県総合保健事業団疾病登録室)への届出

•国立がん研究センターがん対策情報センターへの届出

•秋田県がん診療連携協議会提出

 

2021年 院内がん登録データ報告

 

 当院は秋田県のがん診療連携拠点病院として、2010年より院内がん登録を行っています。

 2021年は2010〜2020年まで国立がん研究センターに提出した当院の全データから統計を取り、部位別・男女別登録数・男女年齢層別登録数など、8項目の結果表やグラフを作成しました。

 また、国立がん研究センター、および秋田県がん診療連携協議会に提出するため、5大がんの2014年5年生存率を作成しましたのでご報告いたします。

 

 (画像部分はマウスをあてると拡大表示します)

 

はじめに部位別・男女別がん登録数を見ると、2010年〜2020年までの当院の登録件数は表のようになっています。

 

この表をグラフにすると、男性は4,706件で、登録件数が多い順から@大腸がんA胃がんB前立腺がんC肺がんD膀胱がんとなっています。

 

女性は3,565件で、登録件数が多い順から@大腸がん A乳がんB胃がんC子宮がんD肺がんとなっています。


※男性・女性共に集計値上位10部位の数値を表示しています。その他の数値は「部位別・男女別がん登録数」の表を参照してください。

 

2010〜2020年までの、男女年齢層別登録数を表にしました。

 

 

グラフにするとはっきり男女の比較ができます。

当院のがん登録数は50歳代までは女性の方が多く、逆に60歳代からは男性の登録数が多くなり、女性のおよそ1.6倍と なっています。

また、全体では60歳以上が79.1%を占めています。

 

男女合計で登録数の多い10部位の11年間の推移をグラフに表わしました。            

登録数が多い順から、大腸がん・胃がん・肺がん・乳がん・前立腺がん・子宮がん・膀胱がん・膵がん・食道がん・ 肝がんとなっています。

2020年は胃がんと肺がん・膀胱がんの減少が目立ちました。

 

 

 

来院・発見の経緯では、2010年〜2020年診断症例で、他院より紹介が50〜60%を占めています。ついで、他疾患の経過観察中にがんと診断された症例が約20〜30%、がん検診等の発見は10〜15%となっています。

自主的受診は年々減少しており、他疾患の経過観察中に発見される割合が徐々に増加してきています。その他として救急搬送や剖検による発見となっています。

 

 

 

次に5大がん(胃がん・大腸がん・肝がん・肺がん・乳がん)のみの男女別登録件数は4,704件で、グラフの様に乳がんをのぞいて男性の登録数が女性の1.7倍になっています。

 5大がんの治療内容はつぎのようになります。

 

6. 5大がんの治療内容
(2010〜2020年診断症例)


・がん登録における治療とは、当院・他院を問わず「がんと診断されてから初回に計画された一連の治療」のことで、手術や化学療法・放射線治療など直接がんに対する治療の他に、経過を定期的に観察したり緩和医療も含まれます。

 

・治療なしとは、当院・他院を問わず「がんと診断されたが、当院で初回治療を行わない場合のこと」を言います。

@「治療なし」2015診断症例までは、診断のみ・治療前の来院中断・経過観察のみ・他院で初回治療終了後に紹介された場合。

A「治療なし」2016年診断症例以降は、治療前の来院中断・他院で初回治療終了後に紹介された場合。

 

・2016年症例から、その他の治療区分に含まれていた症状緩和治療も治療項目に変更されたため、経過観察のみと経過観察+症状緩和治療(緩和ケア)が治療項目に追加となりました。

 

5大がんの治療内容ですが、2016年症例から経過観察のみや、経過観察+症状緩和的治療が治療項目に追加されたため、「2010〜2015年」と「2016〜2020年」の二つに分けて5大がんの治療内容をグラフに しました。

 

胃癌は2016年以降は、2015年まで治療なしに含まれていた経過観察のみと、経過観察+緩和治療(=緩和ケア)が治療項目になったため、治療なしの件数が半分以下に減少しています。


大腸癌は2016年以前・以降ともに治療内容は類似していますが、2016年以降は治療なしが半分以下に減少しています。

また、2016以降内視鏡的治療のみの件数が増えているため、上皮内癌が増加してきていることがわかります。(大腸がん検診での早期発見が関係していると考えられます)


肝癌は他のがんに比べると件数が少ないです。

2010-2015年はその他の治療が多くなっており、

2016年からはTACE(※)のみや緩和ケアの件

数が増加しています。

※TACE=カテーテルを挿入し肝動脈を塞栓する治療法(TAE)と、抗癌剤を肝動脈に注入する治療法(TAI)を同時に行う方法

 

肺癌は2016年以前は、他院から紹介のステージWの症例が多く、化学療法のみや治療なしの件数が多くなっています。

2015年呼吸器外科の開設により、2016年以降の治療内容では、手術や化学療法の件数が増加し、治療なしは1/4に減少しました。

 

乳癌は2016年以前・以降とも手術+化学療法の件数が多くなっています。

2016年以降では、他院にて手術後に当院へ紹介になり、放射線治療のみ・化学療法のみを行う件数が増加しています。

 

当院の診療圏は、大館市が83%とほとんどを占め、ついで鹿角市7%・北秋田市6%・鹿角郡小坂町2%となっています。

がん治療において、院内はもちろん地域医療連携による在宅医療にも、地域の中核病院としての役割を担っているといえます。




2014年5大がん 5年相対生存率

当院では2012年症例から、“5大がんの5年相対生存率“を、秋田県診療連携協議会に報告しています。(秋田県診療連携協議会ホームページに掲載)


5年相対生存率とは?

あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標。あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表わします。(国立がん研究センターがん情報サービス用語集より)

 

・2014年の当院5大がん術前・術後の5年相対生存率を、表にしました。
(手術施行の症例は術後優先で算定)

 

 

 

5大がん5年相対生存率の推移では、2013年までの4年間で乳がん以外のがんの5年相対生存率が少しずつ増加していましたが、2014年には大腸がんが5%、肺がんが7%減少しました。

 2010年1月1日より開始した当院のがん登録ですが、当初は紙カルテから内容を読み取り、国立がん研究センターのがん登録システム「Hos-CanR」にすべて登録していくという、極めて時間のかかる作業でした。
 しかし、2014年11月1日から「がん登録システム」の導入により、電子カルテとシステム連携ができるようになったため、1件あたりの入力時間が大幅に短縮になりました。それによって得た時間を主に統計作業にあて、色々な角度から当院のがん登録の傾向や治療内容などを、詳細に分析することができました。
 全国の病院で行われているがん登録の診療情報や治療経過は、国でまとめて管理・分析され、蓄積されてきたデータががんと闘う人々に還元され、エールになっていきます。
 当院のがん登録も当院のがん医療の特性を把握し、上記のようながん対策につなげていくことを目指しています。


 大館市立総合病院 がん登録委員会

 (資料作成 大館市立総合病院がん登録室)

(令和4年3月掲載)

 

 

地域がん診療連携拠点病院の指定更新について

 大館市立総合病院は、平成31年3月25日付で「地域がん診療連携拠点病院」の指定更新を受けました。指定期間は平成31年4月1日から令和5年3月31日までです。

 秋田県では、都道府県がん診療連携拠点病院として秋田大学医学部付属病院が認定されており、地域がん診療連携拠点病院として秋田厚生医療センターと秋田赤十字病院が当院のほかに指定されています。また、地域がん診療病院として北秋田市民病院、能代厚生医療センター、由利組合総合病院、雄勝中央病院、大曲厚生医療センター、平鹿総合病院が指定されています。


 専門的ながん医療の提供、地域のがん診療の連携協力体制の構築、がん患者に対する相談支援および情報提供など、地域がん診療連携拠点病院としての役割をこれからも果たしていきます。

地域がん診療連携拠点病院に指定されました

 大館市立総合病院が平成21年2月23日付で厚生労働大臣より「地域がん診療連携拠点病院」に指定されました。

 秋田県では、これまで都道府県がん診療連携拠点病院として秋田大学医学部付属病院が、地域がん診療連携拠点病院として、平鹿総合病院、由利組合総合病院、仙北組合総合病院、山本組合総合病院、秋田赤十字病院、雄勝中央病院の6病院、計7病院が指定されていましたが、今年大館市立総合病院と秋田組合総合病院の2院が指定されました。




 拠点病院の主な役割には、

 手術や放射線、化学療法など効率的に組み合わせた専門的ながん医療及び緩和ケアを提供すること。

 がん診療に携わる診療所や一般病院へ診療支援や研修を行なうほか、在宅医療との連携など地域のがん診療連携体制の構築を推進すること。

 「相談支援センター」を設置し、患者・家族の相談支援や適切な情報提供を行なうこと

 などがあります。

 4月からは、医療相談室・地域医療連携室に医療相談員に加え、専任の看護師を配置しながら相談支援センターを設置、相談業務や情報提供、地域医療連携の更なる推進を図るとともに、今後とも施設整備、診療体制の拡充に努め、質の高いがん医療を提供してまいります。