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放射線治療(リニアック治療装置)

放射線治療とは…

放射線治療は、手術による外科療法、抗がん剤による化学療法と並ぶがんの治療法のひとつです。高エネルギーの放射線(X 線や電子線)を照射することにより、腫瘍細胞にダメージを与え、腫瘍を死滅させる治療です。手術と比べ、臓器の形態や機能を温存することができるため、全身への負担が少なく、患者さんにとって優しい治療法といえます。また、外来通院による治療も行うことができます(化学療法と併用して治療を行う場合など、入院が必要なこともあります)。
放射線治療には、体の外から放射線を当てて治療を行う外部照射と、体の中に放射線の出る物質を入れて治療を行
う内部照射(小線源治療)があります。当院では外部照射による治療を行っています。

当院では、2009 年に放射線治療装置(リニアック)を更新しました(VARIAN 社製 Clinac iX)。この装置には X 線撮影装置(OBI:On-Board Imager)が装備されていて、X 線撮影や透視、CT 撮影ができるようになっています。日々の治療での位置合わせの際に X 線撮影や CT 撮影を行い、その画像をもとに高精度な位置合わせを行うことができます。照射直前にリアルタイムで位置合わせを行うことで、mm 単位での位置補正を行うことができ、正確で高精度な照射が可能となりました。(この方法を画像誘導放射線治療(IGRT)といいます)。

放射線治療の流れ

@ 診察
放射線治療医が診察を行い、患者さんの状態を考慮したうえで治療方針を決定します。放射線治療の適応がある場合には、照射部位や治療期間、予想される副作用などについて説明を行います。

A 治療計画用 CT の撮影
病巣の位置や範囲などの情報を把握するために CT を撮影します(実際の治療時と同じ体位で CT 撮影を行います)。
治療部位によっては、シェルという専用の固定具を作製した後、それを装着して CT を撮影します。このとき、位置合わせ用の皮膚マークをつけます。

B 治療計画
撮影された CT 画像をもとに放射線治療医が治療計画を立てます。治療計画装置という専用のコンピュータを用いて、体内の線量分布を見ながら患者さんに合わせた照射方法(放射線の種類や線量、方向など)を検討し計画を立てます。

左:前立腺照射の線量分布図
右:乳房照射の線量分布図



C 位置合わせ(照合)
治療計画が作成されたら、照射部位の位置合わせを行います。実際の治療装置に寝ていただき、X 線撮影を行って最終的な照射部位の確認をします。照合が確認されたら皮膚マークをつけます(この皮膚マークは治療を行うために非常に大事なものですので、消えないようにご注意ください)。

D 治療計画の検証
作成された治療計画の内容が適切かどうか確認します。線量を確認するために専用の計算ソフトを用いたり、実際に放射線を照射して線量を測定したりして検証を行います。複数名で検証作業を行い、適切であることが確認されたら放射線治療を開始します。

E 日々の治療と経過観察
治療計画に基づいて治療を行います。治療計画時につけた皮膚マークをもとに位置合わせを行い、放射線を照射します。照射部位などにもよりますが、治療時間は 10〜15 分程度です(実際に放射線が出ている時間は 1〜2 分程度です)。放射線が出ている間は、痛みや熱さは感じません。治療は原則として、祝日を除く月曜から金曜まで毎日行い、予定線量に達したら治療終了となります(年末年始や連休などでは治療を行う場合もあります)。
また、治療期間中は定期的に診察を行い、治療効果や副作用のチェックなどを行います。

 

安全な放射線治療のために…

当院には放射線治療専門放射線技師(4 名)、放射線治療品質管理士(4 名)、医学物理士(1 名)がおり、日々の放射線治療のほかにも、患者さんに安全かつ高精度な放射線治療が提供できるよう装置の品質管理業務も行なっています。
例えば、放射線治療装置における年間の品質管理プログラムを作成して計画的に点検を行い、精度が保たれていること、異常がないことなどを確認しています。
また、日々の治療を常に技師 2 名で担当するようにしており、安全な放射線治療を行う体制を整えています。


品質管理業務の様子

 

スタッフ一同、患者さんが安心して放射線治療を受けられるように心掛けております。不安なこと、疑問に思っていることなどがあれば、お気軽にご相談ください。