医療安全対策委員会

医療安全対策委員会

 

(筆責)委員長 高橋秀身

 

 当委員会は、設置義務が法令で定められている委員会のひとつです。

 当委員会は、名称が1998年の「医療事故防止対策委員会」から始まり、「医療安全推進委員会」(2000年)、「医療安全対策委員会」(2001年)というように呼称が変遷してきました。その端緒は、不名誉なことでありますが1998年に当院で発生した“異型輸血過誤”(殆ど未遂に近いものでしたが)を受けて正式に発足しております。そして1999年1月の横浜市立大学病院での手術患者取違え事件などに端を発して、この頃から、いわば近代型の“医療安全対策運動”が全国的に、しかも社会的課題としても広がりを見せたころに始まった委員会活動でもあります。それまでは、ある事故が発生した場合に個別的に開かれる事故調査会的なものでした。

 関連組織としては、「リスクマネジメント委員会」(2000年10月発足、2007年までは部会)がありその実践的組織として配置されておりますし、有事の際にのみ開かれる「事故調査委員会」があります。

 

 医療安全対策委員会は、

1) 医療事故防止対策の策定に関すること。
2) 医療事故の分析、および再発防止策の検討に関すること。
3) 医療安全対策ために行う職員に対する指示、および提言に関すること。
4) 医療安全対策のために行う啓発、教育、広報および出版に関すること。
5) 医事紛争に関すること。
6) その他、医療安全対策に関し、委員会が必要と認めるもの。

などについて取り決めております。そして具体的な施策・対応についてはおもにリスクマネジメント委員会および医療安全推進室という部所が担っています。

 

 今だに医療事故はその大小を含めますと一定数発生しているのが実情(全国的)ですが、それでもヒューマンエラーに起因する事故は随分減少しました。それに替って最近は、おもに医師が関係する医療(行為)について患者さんサイドと揉める事例が増えてきております。「病気は治るもの」という前提で権利を主張する患者さんと、「医療は不完全なもの」として合併症・副作用などの存在を説きたい医師側の見解と衝突するような事例はむしろ増えてきているようです。ですので、当委員会の関与する領域は “医療の質”管理というところにまで踏み出しつつあるといえます。